ナチュラルチーズとプロセスチーズの違いは?2026年版・製法や栄養、選び方を徹底比較
スーパーのチーズ売り場で見かける「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」。どちらも牛乳などを原料とするチーズですが、製法や熟成の有無、風味、加熱したときの食感、保存性には違いがあります。ピザやグラタンに向いているのはどちらなのか、タンパク質やカルシウム、カロリーに差はあるのか、気になっている人も多いのではないでしょうか。
雪印メグミルクの「ミルク便利帳」、よつ葉乳業のお客様相談室、Jミルクのチーズ分類資料、文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」などをもとに、それぞれの特徴を整理しました。2026年の食卓で役立つ、表示の見分け方から料理別の使い分けまで、具体的に解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 基本の違い:ナチュラルチーズは乳を凝固させて作るチーズ、プロセスチーズはナチュラルチーズを加熱・乳化して再成形したチーズです。
- 熟成・栄養・保存性:ナチュラルチーズには熟成するタイプとしないタイプがあり、カロリーやタンパク質、カルシウムは種類や商品によって異なります。
- 選び方:風味や熟成による変化を楽しみたいならナチュラルチーズ、安定した味わいや扱いやすさを求めるならプロセスチーズが有力な選択肢です。
【基本を比較】ナチュラルチーズとプロセスチーズの違いは製法にある
ナチュラルチーズとプロセスチーズの最大の違いは、製造工程で加熱・乳化するかどうかです。原料となる乳を凝固させる工程は共通していますが、その後の加工によって、チーズの風味や保存中の変化が異なります。
ナチュラルチーズは乳を凝固させて作る
ナチュラルチーズは、牛乳や羊乳、山羊乳などを乳酸菌で発酵させたり、凝乳酵素を加えたりして固め、ホエイ(乳清)の一部を取り除いて作ります。その後、製品によっては熟成させます。
原料となる乳の種類、使用する微生物、水分量、製造方法、熟成期間などが異なるため、味や香り、硬さの幅が広いことが特徴です。穏やかな酸味のあるフレッシュチーズから、濃厚な香りを持つ青カビチーズ、長期熟成によってうま味が増したハードチーズまで、さまざまな個性があります。
プロセスチーズは加熱・乳化して再び固める
プロセスチーズは、1種類または複数種類のナチュラルチーズを細かく砕き、乳化剤などを加えて加熱・溶融し、均一な状態にしてから成形、冷却したものです。
雪印メグミルクのチーズ工場解説でも、ナチュラルチーズの受け入れ、粉砕、乳化、充填という製造工程が紹介されています。乳化によって成分が均一に混ざりやすくなり、製品ごとの味や食感を調整できます。
製造時の加熱によって、原料チーズの熟成に関わる微生物や酵素の働きが抑えられるため、保存中に熟成が進みにくく、風味や品質を一定に保ちやすい点も特徴です。
なお、乳化剤は原料チーズを均一に混ぜ合わせ、なめらかな組織を作るために使われます。使用の有無や種類は商品によって異なるため、添加物が気になる場合はパッケージの原材料表示を確認しましょう。

【熟成の有無と種類】フレッシュ・白カビ・青カビ・ハードは何が違う?
ナチュラルチーズについて知っておきたいのが、「ナチュラルチーズはすべて熟成する」というわけではないことです。雪印メグミルクの解説やJミルクの分類資料でも、熟成させないタイプと、微生物などの働きで熟成させるタイプが区別されています。
熟成させないフレッシュチーズ
フレッシュチーズは、作った後に長期間の熟成を行わないタイプです。水分を比較的多く含み、みずみずしさや軽い酸味、ミルクの風味を楽しめます。
- モッツァレラ:弾力があり、ミルクの風味が穏やか。カプレーゼやピザに向いています。
- カッテージチーズ:粒状でさっぱりした味わい。サラダや和え物に使いやすいチーズです。
- クリームチーズ:なめらかでコクがあり、チーズケーキやディップなどに適しています。
フレッシュタイプは熟成による味の変化を楽しむチーズとは異なります。また、水分が多い商品は保存条件の影響を受けやすいため、開封後の取り扱いにも注意が必要です。
白カビ・青カビ・ウォッシュなどの熟成チーズ
- 白カビタイプ:カマンベールやブリーが代表例。表面の白カビの働きによって、外側から内側へ熟成が進みます。
- 青カビタイプ:ゴルゴンゾーラやロックフォールなど。内部に青カビを繁殖させ、独特の香りと塩味、濃厚な風味を生み出します。
- ウォッシュタイプ:表面を塩水や酒などで洗いながら熟成させます。香りの強い製品が多いタイプです。
- シェーブルタイプ:山羊乳で作るチーズの総称。フレッシュからハードまで幅広い種類があります。
- セミハードタイプ:ゴーダなどが代表例。適度な弾力とコクがあり、そのまま食べるほか、料理にも使えます。
- ハードタイプ:パルミジャーノ・レッジャーノなどが代表例。水分が比較的少なく、うま味が凝縮したものが多いタイプです。
ここで注意したいのは、フレッシュ、白カビ、青カビ、セミハード、ハードといった分類は、ナチュラルチーズの種類を表すものだという点です。一方、プロセスチーズは加工方法による分類です。両者は同じ基準で並べられる分類ではありません。
また、ナチュラルチーズだから必ず乳酸菌が生きたまま含まれている、という理解も正確ではありません。製法や熟成の有無によって性質は異なり、プロセスチーズでは製造時の加熱によって原料チーズ中の微生物が失活します。
【栄養・カロリーを比較】タンパク質とカルシウムはどちらが多い?
ナチュラルチーズとプロセスチーズの栄養を比べる際は、分類だけで優劣を判断しないことが大切です。チーズは種類によって水分や脂質、タンパク質、ミネラルの含有量が異なり、同じナチュラルチーズでも商品ごとの差があります。
文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」に掲載された、カマンベールと一般的なプロセスチーズの成分値を比較すると、次のようになります。
| 比較項目 | ナチュラルチーズ(カマンベール) | プロセスチーズ |
|---|---|---|
| エネルギー(100g当たり) | 291kcal | 313kcal |
| タンパク質(100g当たり) | 19.1g | 22.7g |
| カルシウム(100g当たり) | 460mg | 630mg |
| ナトリウム(100g当たり) | 800mg | 1,100mg |
| 熟成 | 白カビによって熟成する | 製造時の加熱により熟成の進行が抑えられる |
| 味・香り | 熟成による個性や風味の変化がある | 比較的安定した風味に調整しやすい |
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」。栄養値は可食部100g当たりの代表例です。カマンベールとプロセスチーズの比較であり、ナチュラルチーズ全体の平均値を示すものではありません。
カロリーはナチュラルかプロセスかだけでは決まらない
上の比較では、プロセスチーズのエネルギーがカマンベールより高くなっています。しかし、これはナチュラルチーズ全般のほうが低カロリーだという意味ではありません。
ナチュラルチーズには、水分の多いフレッシュタイプから、脂質やタンパク質が凝縮したハードタイプまであります。比較する種類によっては、プロセスチーズよりエネルギーが高いものもあります。
カロリーを抑えたい場合は、分類名だけで判断するのではなく、商品パッケージの栄養成分表示でエネルギーと脂質を確認しましょう。1回に食べる量を決めておくことも、摂取量を管理するうえで役立ちます。
タンパク質とカルシウムは両方から摂れる
チーズは、タンパク質やカルシウムを摂取できる乳製品です。上記の成分例では、プロセスチーズのタンパク質とカルシウムがカマンベールを上回っています。
ただし、プロセスチーズはナトリウムも多い数値です。ナトリウムは食塩相当量と同じではなく、食塩相当量に換算すると、100g当たりカマンベールは約2.0g、プロセスチーズは約2.8gとなります。
実際の食事では、100g単位の数値だけでなく、1回に食べる量を考慮しましょう。雪印メグミルクのお客様センターでは、プロセスチーズ20g当たりの食塩相当量を0.56gと紹介しています。塩分が気になる人は、チーズ単体だけでなく、パンやハム、調味料などを含めた食事全体で調整するのがおすすめです。
また、乳酸菌が生きていることだけを健康面の判断基準にするのも避けたいところです。栄養を重視するなら、タンパク質、カルシウム、脂質、食塩相当量を具体的に比較し、自分の食生活に合った商品を選びましょう。
【加熱時の違い】ピザ・トースト・グラタンにはどちらが向いている?
チーズは加熱すると、とろける、糸を引く、油分が浮く、焼き色が付くなど、さまざまな変化を見せます。ただし、ナチュラルチーズなら必ずよく伸び、プロセスチーズなら必ず溶けにくいという単純な違いではありません。
ナチュラルチーズは種類ごとの溶け方を生かす
モッツァレラは伸びのある食感を楽しみやすく、ピザや焼き料理に向いています。ゴーダやチェダーなどは、コクやうま味を加えたい料理に適しています。パルミジャーノ・レッジャーノのようなハードチーズは、削ったりすりおろしたりして、パスタやスープの仕上げに使う方法が一般的です。
一方、水分や熟成状態によっては、加熱しても思ったほど伸びなかったり、油分が分離したりすることがあります。ナチュラルチーズという表示だけで溶け方を判断せず、種類と商品特性を確認することが大切です。
プロセスチーズはなめらかさと扱いやすさが魅力
プロセスチーズは、乳化によって成分が均一になりやすく、料理にコクを加えたり、なめらかな食感を作ったりするのに便利です。スライスチーズをトーストにのせる、ベビーチーズをサンドイッチに挟む、チーズをスープやソースに加えるといった使い方に適しています。
ただし、プロセスチーズにも、とろけるタイプと形を保ちやすいタイプがあります。雪印メグミルクは、乳化剤の種類や量、原料チーズ、加熱・撹拌条件などを調整して、溶け方や焼き色を工夫する技術を紹介しています。プロセスチーズだから加熱料理に不向きというわけではありません。
特にピザ用のシュレッドチーズは、ナチュラルチーズを使用した商品が多く、パッケージに「加熱用」と表示されている場合があります。その表示がある商品は、表示に従って十分に加熱してください。
料理別に選ぶなら、ピザの伸びやチーズ本来の風味を重視するときはモッツァレラなどのナチュラルチーズ、手軽なチーズトーストにはスライスチーズ、パスタの仕上げにはハードチーズ、なめらかな口当たりを求めるスープやソースには溶けやすいタイプが候補になります。
【保存性と賞味期限】長持ちするのはどっち?開封後の注意点
一般的には、製造時に加熱処理を行うプロセスチーズは、熟成が進みにくく、品質や風味が安定しやすいという利点があります。雪印メグミルクやよつ葉乳業の公式解説でも、プロセスチーズの特徴として保存性の高さが挙げられています。
一方、ナチュラルチーズの保存性は、種類によって大きく異なります。水分の多いフレッシュチーズと、水分が比較的少ないハードチーズを同じように扱うことはできません。ナチュラルチーズのすべてが短期間で傷むわけでも、プロセスチーズのすべてが長期間保存できるわけでもありません。
賞味期限は未開封・表示どおりの保存が前提
農林水産省によると、賞味期限は、未開封の食品を表示された方法で保存した場合に、おいしく食べられる期限を示すものです。開封後は期限の表示だけに頼らず、早めに食べることが大切です。
- 未開封:パッケージに記載された保存方法と期限を守る。
- 開封後:清潔な器具を使い、包装や容器を適切に閉じて冷蔵し、できるだけ早く食べる。
- フレッシュチーズ:水分が多い商品は、特に保存条件と開封後の取り扱いに気を配る。
- 熟成チーズ:種類によって適した保存方法が異なるため、商品表示を確認する。
また、ナチュラルチーズは熟成が進むことで風味や食感が変わる場合がありますが、変化があることと、傷んでいることは別です。異臭、異常な変色、包装の異常などが見られる場合は、無理に食べないようにしましょう。
保存性だけで選ぶならプロセスチーズは便利ですが、実際の賞味期限は製品の水分量、包装方法、殺菌・加熱条件などによって異なります。購入時には、種類別表示だけでなく期限と保存条件も確認してください。

【見分け方と料理の使い分け】パッケージのどこを見ればいい?
ナチュラルチーズとプロセスチーズを見分ける際、最も確実なのは、パッケージの一括表示欄にある「種類別」の表示です。よつ葉乳業のお客様相談室も、この表示によって両者を見分けられると説明しています。
種類別表示を確認する
- 「種類別 ナチュラルチーズ」:乳を凝固させて作ったチーズ、またはそれを熟成させたもの。
- 「種類別 プロセスチーズ」:ナチュラルチーズを粉砕し、加熱溶融・乳化して成形したもの。
見た目や商品名だけで判定するのは難しい場合があります。例えば、スライス状や個包装という形状はプロセスチーズによく見られますが、形だけでは確実な判断材料になりません。また、「とろけるチーズ」という商品名だけでは、ナチュラルチーズかプロセスチーズかを特定できません。
原材料表示も参考になりますが、原料チーズの種類や添加物の記載だけで製品の分類を推測するより、種類別表示を直接確認するほうが確実です。
目的別に選ぶための判断基準
- チーズそのものの味や香りを楽しみたい人:カマンベール、ゴーダ、青カビチーズなど、好みに合うナチュラルチーズを選ぶ。
- 毎日の朝食やお弁当に使いたい人:個包装やスライスタイプのプロセスチーズを選ぶと、取り扱いやすい。
- ピザやグラタンで伸びを楽しみたい人:モッツァレラや加熱向けのシュレッドチーズなど、溶け方が用途に合う商品を選ぶ。
- カロリーや塩分を管理したい人:ナチュラルかプロセスかという分類だけで決めず、栄養成分表示と1回に食べる量を確認する。
- チーズの熟成による変化を楽しみたい人:熟成タイプのナチュラルチーズを選び、種類ごとの香りや食感の違いを味わう。
選ぶ際に避けたいのは、「ナチュラルチーズのほうが必ず健康的」「プロセスチーズは加工品だから栄養が劣る」「ナチュラルチーズはすべて加熱しなければ食べられない」といった決めつけです。栄養、保存性、食べ方の適性は、それぞれ別の基準で判断する必要があります。
【ナチュラルチーズプロセスチーズ違い】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ナチュラルチーズとプロセスチーズは、どちらが体にいいですか?
A1:一概にどちらが優れているとはいえません。どちらもタンパク質やカルシウムを摂取できる食品です。商品ごとの栄養成分、食塩相当量、脂質、食べる量を比較し、食生活に合うものを選びましょう。
Q2:ナチュラルチーズは必ず加熱して食べる必要がありますか?
A2:すべてのナチュラルチーズに加熱が必要なわけではありません。ただし、パッケージに「加熱用」と表示された商品は、表示に従って加熱してください。妊娠中の人など、食中毒のリスクに特に注意が必要な人は、製品の殺菌・加熱条件を確認し、必要に応じて医師や公的機関の案内に従うことが大切です。
Q3:とろけるスライスチーズはナチュラルチーズですか、プロセスチーズですか?
A3:「とろけるスライスチーズ」という名称だけでは判定できません。プロセスチーズの製品もあれば、ナチュラルチーズを使った商品もあります。パッケージの種類別表示を確認してください。
まとめ:製法・栄養・用途を知ればチーズ選びで迷わない
ナチュラルチーズとプロセスチーズの違いは、主に製造方法と、その工程によって生まれる性質にあります。ナチュラルチーズは乳を凝固させて作り、熟成するタイプと熟成しないタイプがあります。プロセスチーズはナチュラルチーズを加熱・乳化して成形するため、品質や風味が安定しやすく、日常の食事に取り入れやすいことが特徴です。
カロリーやタンパク質、カルシウムについては、分類だけで優劣を決められません。フレッシュ、白カビ、青カビ、セミハード、ハードなど、ナチュラルチーズの種類によっても成分や食感は変わります。購入時は種類別表示と栄養成分表示を併せて確認しましょう。
【プロの結論】チーズ選びで最も役立つのは、「ナチュラルかプロセスか」という二択だけで判断しないことです。味や香りを楽しみたいなら好みの熟成タイプ、毎日の朝食や手軽さを優先するなら個包装のプロセスチーズ、料理の伸びや溶け方を重視するなら用途に合った商品を選ぶ。こうした基準を持てば、健康面への配慮とおいしさの両方を考えながら、自分の食卓に合ったチーズを選びやすくなります。 (出典: ナチュラル チーズ プロセス チーズ 違い(Yahoo!ニュース))